粘菌でNP完全問題を解ける?

数日前のNHKサイエンスゼロで「粘菌」を紹介していた。


変形菌
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E5%BD%A2%E8%8F%8C


粘菌と言えば、風の谷のナウシカを思い出すが、番組でもナウシカに出てくることを紹介していた。


『粘菌は飢餓に陥ると1カ所に集まって胞子を作る。見た目は派手な状態=粘菌の死を表している』


風の谷のナウシカの生命論
http://homepage3.nifty.com/mana/miyazaki-nausika-1.html

粘菌と共存しようとする王蟲、死んだように見えている時に元気で、生きているときに死に近い粘菌の3つの事象から、生と死の考え方を固めたのでしょう。

ナウシカの元ネタの一つは「蟲めづる姫」で、それもやはり相克ですね
http://yaplog.jp/kamogawani/archive/13


粘菌の研究をしている北大の研究者の話で、面白いことに、その研究者は工学部なのである。
粘菌の情報処理の仕組みを研究しているらしい。
粘菌というのは巨大な単細胞生物で、拡大したり縮んだりの繰り返しの運動をしながら移動もできる。



仕組みとしては、広がるときに障害物が無いところはより広がり、障害物があれば広がれない。
このへんの差で、障害物をよけながら移動できるらしい。
移動方向は、たとえば光を避けるとか、甘い物に向かうとか、(目標に近いほうほど拡大縮小のピッチが速いのでその差で全体が引きずられるように移動可能)


要するに、全体で統率するものはいなくて、MITのブルックス的な分散ロボットのような動きをするみたい。


たとえば、迷路に粘菌をいれると、初めはあらゆる分岐を分岐して広がるけれど、どれかの分岐がエサに到達すると
エサが全体に流れる時に、その栄養の流れが多い分岐は太くなり、流れない分岐は段々細くなっていく。
しばらくすると、「最短距離で迷路を解いたパスだけを粘菌が延びている」
要するに、粘菌は迷路を解けるのである。


これを応用すると、米国のように網の目に高速道路が走っている場合に、どのような経路を選ぶと「ほぼ最短で行けるか?」
といった問題も解けるらしい。
この経路選択は、巡回セールスマン問題なんかに一般化するとNP完全問題と言われる、
いわゆる真面目に計算すると組合せ爆発を起こす問題


『自然に優れたアルゴリズムが潜んでいる?』


人間は頭がいいが故に、難しい理論で、物事を考えがちだが、自然界や動物は、以外に単純な手法で、物事を解決しているかもしれない。
分散処理という手法を使えば、単細胞動物に迷路が解けるのだから。


もしかしたら、将棋でも、駒自身に行動原理を植え込んで、後は、駒同士の相互作用、話し合いで、一番良い行動が決定できるのかもしれない。
ハチワンの文字山の見える駒同士の会話のように)


ハチワンの必殺技ダイブ=全幅探索
文字山の必殺技=分散処理


サイエンスゼロのまとめとして


我々の脳も個々の脳神経ニューロンは粘菌のような単純な細胞であり、
もしかしたら粘菌の情報処理のような手法で、意識や思考が実現されているのかもしれませんね
みたいな総括でした