LAST EXILE

 うちの地元はネット外なのでAT-Xで視聴中。現在6話まで放送されたので、そこまで見た。
 青の六号と同じ村田さんのキャラで、キャラが美しいのでそれだけでも作品がいい感じに見える。
 ガンシップかと思っていたらヴァンシップだったのか。
 一話から見ていると「ラピュタ」の影響が強いなあと思う。青い発炎筒もそうだけど。ゴリアテの雰囲気など。
 「半金をもらって」アルを渡してしまう挫折感もラピュタと同じだ。そして取り戻しに行くことも。


 世界観が「ナディア」的でもある。ネモとガーゴイルの闘いの構図と同じだ。(ナディアとラピュタは元は同じ話らしいのでそれはいい)
 シルヴァーナってのは、ノーチラス号と同じだ。海じゃなくて空を飛んでいるってだけで。船長や船員に影があるのも同じだ。エレクトラさんそっくりの副長までいる。


 面白いのはラビィとクラウスという素人と世界の関わり方が、「いやいや体制に組み込まれていく」のではなくて、
 ギルドとしてお題目を自分たち自身で持てていることだな。
 パズーはシーターを奪われるということでしか世界とコミットできないし、シータは自分がラピュタ族の末裔であるという理由によって世界とコミットできている(でなければただのおさげの小娘)けど、
 ラビィとクラウスは設定上のこじつけが無くても、「仕事を果たすため」という理由で世界とコミットできる。自律的に。


 これはいままでの作品ではなかなか無かったと思う。(子供は巻き込まれないと世界にコミットできない。ガンダムアムロもそうだけど)
 ナディアでも、ナディアは末裔であるからこそ世界とコミットできるし、ジャンはナディアと知り合ったから世界とコミットできる。その存在の位置づけが「かなり弱い」
 これは「素人を主人公にする宿命」ともいえると思うけど、
 ギルドに属することで、「体制側」にならずに(プロにならずに)、世界とコミットできる。ギルドも組織だけど人材派遣会社のような空ろな入れ物のような存在なので、
 彼らの行動に「足かせにならない」
 平凡な世界に「超技術の二陣営が戦っている」という構図は、「ナディア」と同じで、ネモ艦長の孤独感をシルヴァーナの艦長もまた背負っている。


 ナディアは「こういう事実がじつは過去にはあったんです」という構図をとるのに大して、LASTEXILEの世界は「仮想戦記」の世界で、
 産業革命「風」であって、過去の歴史とは交わらない。そのへんはナディアからの「時代の流れ」を現しているんだろう。時代の要請というか。
 平凡な世界と強大な敵にはさまれた孤独な「シルヴァーナ」という構図は、ナディアもそうだけど、フルメタルパニックもそうだなあ。
 よく考えると、ハーロックアルカディア号も「世間との関係性」が近いかもしれないな。いいことをしているはずなのに影があって世間から疎まれるって「構図」を好む心が我々にはありそうである。


 パワーブースターを手に入れたいので、パイロットを叱咤激励するラビィの行動はロストユニバースでのケインとキャナルを思い出して楽しい。世界を背負う厳しさがケインには強すぎたけど、RPGでパーツを手に入れていくような感覚で、「自分の船を愛するラビィの気持ち」の方が、等身大で親しみを感じる。
 「だからあんたは青いっていうのよっ!」ってクラウスに対する叱咤激励は「英雄願望の強すぎた従来の物語に対して言っているような気がする」
 「クラウスは弱っちく見えるけど、船を運転すると凄い」と相方を賞賛できるラビィは素敵だ。
 従来のヒロインはヒーローを貶すことでしか「愛情表現できない」ので、「誉めることも知っている彼女」は素晴らしい。
 「寡黙だけどもくもくと行動で示すクラウス」も魔女宅のパン屋とおそのさんの関係を思い出して「職人肌」で自分は好きな主人公像だった。