コンピュータ将棋王者決定戦(国際将棋フォーラム)

土日にイースト21で観戦してきました。
米長会長と機械将棋開発者のシンポジウムもありつつ、
対戦もすごく面白かったっす。燃えました。


山下さんはネットの写真で見るよりだいぶ若い感じでした。
上位の強豪はほとんど研究室チームなんで、個人製作では最強だと思う。
パフォーマンスを考えても山下さんの存在は大きなと。
2chを見てるとAI将棋は面白くない手を指すと文句をたれてるのをよく見るけど、
今回の全勝優勝はある意味、世界一はYSSと言ってもいいんじゃないだろうかと。
もっとも本人も上位は棋力差は紙一重と言ってたので、誰が勝ってもおかしくないかもしれんが。
しかし、マスコミも含めて、最近の「激指」の持ち上げ方は、YSSに失礼と思う。
今回も全勝してるのに、シンポジウムは座ってるのは鶴岡さんだったし。


あと、最前列に陣取ってたGPSのチーム。マナー悪いと思うぞ。
せっかく、勝又五段ががんばって解説してるのに、自分たちの将棋ソフトの内容をべらべらと前列でしゃべるのは、ひどいと思う。
勝又さんの解説につっこみをいれるならまだしも。
だいたい関係者が最前列を全部占領ってどうよ? お客さんを立たせてさ?


今回見てて思ったのが、TACOSが全敗したなあって。この前の石川でのプロとの対戦もあったけど、やはりTACOSはまだまだなのかなと思ったな。北陸先端大学院大学の飯田さんのチームなわけだが。
GPSは激指の弟みたいなもんで、実現確率もやってるみたいだけど、今回大物食いをやって、けっこう盛り上がった。


凄いのはKCCで。北朝鮮プログラマが国の研究費で開発してるらしいが、勝又さんの言葉でも「一番安定した指しまわし」だったと感じます。
YSS vs KCCの、終盤の完全読みは、ある意味大会のハイライト的盛り上がりだったと思う。山下さんのガッツポーズも出たし。
終盤を読みきるには、詰め判定ルーチンを呼ばねばならないけど、一手30秒(実際は25秒)だから、呼ぶ暇もなかなかないと思うけど、
どういう仕組みでやってるんだろうね?


あと、渡辺竜王の解説は面白かったなあ。佐藤棋聖はソフトにあまり良い感情を持ってないみたいで、感じ悪かった。
面白かったのは、千葉女流王将(だっけ?)ボケというか鋭い突っ込みと言うか、最高でした(笑)

勝又「コンピュータ将棋ってのは、飛車を狙いにいってしまことが多いんですね」
千葉「それって、マジメな人が突然女に狂うようなもんですね」
会場爆笑。
勝又「‥‥汗出てきました」


シンポジウムでは
米長「プロ棋士が路頭に迷うことになれば、米長のせいだといわれます。しかし、本当は、あなた方(目の前の開発者たちを指して)のせいですからね!」
会場爆笑
今後プロ棋士とソフトの対局は「1億円用意してもらう」ってのは、どうかと思うけど。
女流とソフトの対決で、共同通信社が1000万円用意するって話はしてた。
日ごろに思うのが、新聞って囲碁と将棋に寛容だなって。扱いがでかいというか。
あと、電機メーカーね。今回もマシンは富士通製だったけど。
ま、タニマチみたいなもんなんかな。富士通って将棋部もあるし、柿木さんは元々富士通研究所出身だったね。


でも、羽生とソフトの平手で、5番勝負をTVで生放送となれば、視聴率はそこそこ取れると思う。
どっちかというとネット中継の道を将棋連盟は模索しているようだけど(米長会長の日記を読む限り)
でも、カスパロフのチェスみたいにはいかんだろうなあ。
米長さんも海外、とくにロシアではチェスのグランドマスターは国会議員のような地位があるのに
日本では「将棋指しには嫁はやれん」と思われてて「自分も結婚するときは難儀した」と冗談を飛ばしていた(笑)


最後の、森内名人とYSSの対戦は、ほんと面白かった。こんなに集中して何かをみたのは久しぶりと思う。
森内名人もけっこう長井みたいな感じだけど、かっこよかった。
「頭に手を当ててるときは乗っているとき」と解説の勝又さんが解説してたけど。
今回、助言した(笑)のがなあ。
本来、名人に何をいっても助言にはならないんだろうけど。相手が機械だけに‥(笑)
でも、勝又さんはすごい熱心だし、解説面白かったなあ。いい人だと思う。お疲れ様でした。
対戦はYSSが負けたけど、でも銀の前の歩を突いておくべきだったとか、角の大回りな成りとか、いくつかの疑問手が無くなれば、けっこういい勝負になったんではと思った。
特に、飛車が横に回ったところは、名人を超えてたんじゃないかな?
あと、角落ちだと、位取りで負けないとか意識すれば、もっといい序盤になってよかっただろうなって思う。
山下さんはやらないだろうけど、角落ちで勝つようにチューニングなり定跡を入れるなりもやったほうが、いいんではないかと思った。今後もプロ棋士とやる機会はあるだろうし。


あと、ボナンザ関係。山下さんが、評価関数を機械学習する方式で、全幅探索でやっているって説明していて、貴重な情報だった。
ようするにチェスのやり方に近い。
作者はカナダ在住だから、日本の文献は読まずにチェスの文献で作ってるらしい。
でも、その説明は、目の前にCSAの会長もいるわけだし、ちょっとね‥‥(^^;


でも全幅なのに、なぜあんなに早いんだろう? 読む深さは浅いだろうけど、評価関数が凄いから強いということになると思う。
ボナンザのリンク集をみれば、チェスの文献にリンクされてるから、評価関数を自動学習してるとのは判るんだけど。
将棋の場合は特徴はどうしてるんだろうね。これは自分も考えようと思う。


http://d.hatena.ne.jp/doublecrown/20051025

doublecrownさんに拾われてた。

>特に、マナーの悪い常識のない人、観客を大事にしない運営体制などはまさに、ザ・将棋界とでもいうべきものなのですよ。あっはっは。

今回は運営はすばらしいと思いましたよ。
GPSチームのマナー以外にも、
「なに立ってんだよ! すわれよ!」と怒鳴るオッサンとか(GPSチームに向かってだけど(笑))

あと、deepblueを持ち出して、CPUをたくさんつなげば簡単に強くなって、今でもプロに勝てると考えてるオジサンが熱弁を振るったり(笑)
質問がしつこいので、シンポジウムが終わった後に、CSA会長自ら説明してたけど。
でも、たくさんつなげば強くなるってのは、そういう面もあると思うな。
そういうソフトを書く必要はあるんだろうけど。
たとえば1万プロセッサのPower5を用意したbluegeen/Lで、将棋を動かせば、
今すぐ羽生に勝てるようなものが作れるような気がする(気がするだけ)


アルファベータ探索をいかに分散化してCPUにわりあてるかによるけれど。
ある局面で生成されたそれぞれの手筋から、それ以後の探索は互いに独立なので、
並列化できると思う。ただし、その結果を比較する部分で、同期はとらないといけないし。
それは再帰的に現れるから、けっきょくかなり同期が発生するから、
やっぱり並列化に向きそうもないのは確かかかな。
一見、将棋は並列化しやすいと考えてしまうけど、よく考えると並列処理が難しい?
でも、deepblueはどのように並列化したんだろうなあ。
このへんは英語に強い人は海外の論文をどんどん読めるからいいなって思う。