今日泊亜蘭さん死去

http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20080520-OYT1T00264.htm

http://www.exa5.jp/sfs_diary/200805.html#0520
V林田日記で気づきました

 今日泊亜蘭氏(きょうどまり・あらん、本名・水島行衛=みずしま・ゆきえ=作家)12日、肺がんで死去。97歳。告別式は近親者で済ませた。

 日本のSFの先駆者で、1962年刊の「光の塔」は日本のSF長編第一号と言われる。

 亡くなられたんですね……


本棚を見たら「海王星市(ポセイドニア)から来た男」今日泊亜蘭(早川JA文庫)がありました。
昭和53年初版
定価は280円
246ページ


解説は横田順彌さんで、『「光の塔」を読んで15年以上になります』と始まってます


横田さんがSF辞典から引用されていて

1912年 東京生まれ。上智大学外国語学部中退後、同人雑誌に作品を発表したり、翻訳の仕事をしたが、戦後「文芸首都」誌、
「歴程」同人となり作家活動に入る。終戦直後は翻訳に手を染め、「探偵倶楽部」誌などにSF,推理小説を翻訳、一方でSF短編を次々と発表。1959年度上半期直木賞候補に「河太郎帰化」。同人誌「宇宙塵」連載の時間テーマの名作「刈り得ざる種」が、
62年度東京書房のミステリ・シリーズに「光の塔」のタイトルで収録され反響を呼ぶ


私は野田昌宏宇宙軍元帥のファンだったので、今日泊亜蘭さんは野田さんの師匠のような感じなのかなあと思ってます。
野田さんの本には色んな場面で今日泊亜蘭さんの話とか言葉が出てくるんですよね



個人的に好きなのは「<外惑星野郎ども>宇宙兵物語」(早川JA文庫)とかですね。
これは昔日記に感想を書いた記憶もあります。
昔、アーサーバートラム・チャンドラーの銀河辺境シリーズってスペースオペラにはまっていた時期があって
(確か大学生だったかなあ)
あれが、SF(スペースオペラ)に潮の香りを持ち込んだ作品って位置づけだったんですよ
(翻訳は野田さんで、元々作者が、ホーンブロワーとかの帆船ものを下敷きに書いていて)
チャンドラーさんはオーストラリア在住だったんですが、もう亡くなってるでしょうね。
この宇宙兵物語も雰囲気が似てるんですよね(野田さんが逆に参考にされたのかもしれませんが)


文庫本解説で、中島梓栗本薫)さんが

「宇宙兵物語」という作品集の中に、まったくそれと同じ――歌舞伎と同質の王道を見いだした。
(中略)
小説が俗な意味で「エンターテイメント」でありさえすればいい、というものではないこと、
それを、何より大切なことを今日泊亜蘭は教えてくれる。今日は、ほとんどの作家がばかにしてかえり見ようともせず、
それゆえに読者もまた忘れはてて久しいこと――それは、「小説とは人に感動を与えるものだ」「小説は人を清々しくさせ、
心の美しさ高さ、人生のふしぎさ、あわれさ、残酷さについて考えさせるものだ」という、もっとも単純にして、
万古不変の真理なのではなかっただろうか




ご冥福をお祈りいたします



今日泊亜蘭
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8A%E6%97%A5%E6%B3%8A%E4%BA%9C%E8%98%AD