契約より慣習で回してきた従来の漫画界のシステム限界が来たんではないだろうか?

話題の事件なので、山田@CSAさんのコメントへのレスですが、日記として書きます。

あちこちで険悪になってるように伝えられていますよね。
今に始まったことでなく、ずいぶん前から損し続け、業績も落としているのに、なぜいつまでも改まる様子がないのか不思議です。

業界の有名人も、1出版社の話で終わらない動きだと考えているようです。
やっぱりメディア業界は閉ざされすぎだと思います。
「業界の常識は世間の非常識」というのが世の常ですが、もっと開けた業界ならここまでひどくないと思うんですけどね。
原稿をしょっちゅうなくす出版社も変だけど、クリエイターも劣悪な労働環境への耐性がありすぎでは?


たけくまさんのメモは時々わたしも読んでますが、
指摘されていることが面白いですね。


http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4da3.html

雷句誠氏レベルの「作家と編集のトラブル」は昔から日常茶飯事であったと思うわけです。それでもこれまで表沙汰にならなかったのはなぜか、それがここに来て作家の側からの「告発」がはじまったのはどうしてか、ということを俺は考えたいと思うわけです。

キモはここかなと。


原稿を無くすなんてのは今に始まったことじゃないんですよね。
http://www2.ttcn.ne.jp/~atsuji-ya/zankoku-m3.html
小説なんかでもその手の業者に流れたりする。

小説家村上春樹氏の原稿が売られて高値がついていたとニュースになっていた。
 いったい誰がどういうルートで流したのか。
 これまでも何度か私のサイトでもその種の話題には触れてきた

なくす所か、中には原稿を売っちゃう編集もいるんですよね。
中野のまんだらけに行けば、そういうのが売ってたりした事件も過去にありますし。


http://artifact-jp.com/mt/archives/200306/mandarake.html
↑これは潰れた出版社が横流した例ですが

まんだらけの古川社長のコメント(No.117)。渡辺やよい氏と弘兼憲史氏の代理人の弁護士では対応が違っているのが気になります。あと、毎日数万点の持ち込みがあるから対処できないといってますが、生原稿は1日1,2点程度と言っているのだから、それだけ別扱いにしても問題はないのでは。

ブロードウェイだと、セル画とかアニメのシナリオとか、関係者のみ配布のものもよく売られてますし。
今回のガッシュの原稿も無くしたなんじゃなくて、業者に流れている可能性もあるでしょう。



まんだらけ・オークション
非売品の「台本」が売られているのも本来は変だと思います(^^;
↑個人的には好きなアニメの脚本は買ってたりしますが……
http://ekizo.mandarake.co.jp/auc/itemsList.do?action=searchByCategory&categoryPath=03%2F12%2F01%2C03%2F12%2F02%2C03%2F12%2F03%2C03%2F12%2F07%2C03%2F12%2F04%2C03%2F12%2F05%2C03%2F12%2F06%2C03%2F12%2F99



問題は、今まではそういうことがあっても信頼関係が保たれていたのに、
現在になって、なぜ関係が急に崩れ始めていたのか? という点に着目するのが新しいと思います


たとえば、アメコミは、契約をきちんとやるからあそこまで細分化して分業して回るんでしょうけど、


日本はそもそも契約では無くて口約束とか慣習で回す社会。
だけど、これまでは作家と編集の人間関係で埋めていたのが、
ここにきて、人間関係が希薄になって、契約より慣習主義というデメリットによる亀裂が
強まったのが、原因じゃないかと思います。



ただ、原稿料は、雑誌の売り上げでまかなうものでしょうから、
発行部数が伸び悩んでる以上、上げられないと思うんです。
(漫画雑誌じたい、あれだけ分厚くて、かなり安いので儲からないと思います)
(たけくまさんも書いてましたが、今回、原稿料が安いという非難はされていない。あくまで紛失したカラー原稿の価値の話)
バブルに原稿料が上がらなかったので、その後持ちこたえたというのもそうなのかもしれません。


売れた漫画家は単行本で稼げるからいいとして、(単行本の売り上げは原価だけど、雑誌の原稿料は単行本が売れるまでの資産計上?)
そこまで行けない人は……
メジャー雑誌で連載してて貯金が1万円なんて作家がいましたし



http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1111682.html

サンデーの打ち切り作家「銀行の残高が1万円を切った」 

兵糧が尽きましたぞ。今日はヘルプの人が来るので、ヘルプの人の給料のためのお金を下ろしに行ったら、銀行の残高が1万円を切った。
これで来週までに何かしらのお金が入らないと、公共料金が落ちない。石器時代に逆戻りですよ。


サンデーで連載してたってだけで、一般読者レベルの私から見ると、天の上、雲上人かと思うんですが、
そういう人がこういう展開になってしまうのは、いくら成果主義とはいえ、酷いと。
一方で、小学館の社員の年収は、1000万円超とかだったりするので、余計に……

http://blog.goo.ne.jp/ambiguousworld/e/9eeba549124eb93ca8a84d9aa7a19dda

【社名】   【30歳平均年収】 【社員数】
小学館     12,681,000   約840名


IT系なら、アシスタントも雇うわけだし、それこそ人月計算で、
単行本が売れようと売れまいと、開発費=原稿料はもらわないと、
単行本が売れないと、漫画家という下請け企業は破綻してしまう
ある意味、ハイリスクハイリターン。
でも、きちんと開発費をもらってしまうと、単行本が売れない作家の原稿料を、
単行本が売れる作家の原稿料でまかなわないと行けない。
出版社の社員の年収を減らせよという話はあるとしても
これは、地方財政を、東京みたいな黒字の地方が国庫を経由する形で、養ってる話を思い出します。
原稿料をふやすには、特定の作家の単行本収入を、別の作家に流入するしかないんじゃないか。